素人から始める情報通信

大阪大学大学院出身の情報通信技術者が、通信技術をやさしく解説していきます。

光通信の基本 〜変調について〜

概要

光ファイバーの中にただ光を通すだけでは情報は伝達されません。

光や電気に"0"と"1"で表されるディジタル情報を載せる作業を行って初めて"情報"通信となるのです。

ここでは情報を載せる作業="変調" について解説していきます。

 

 

変調の種類

変調には沢山の種類(変調方式)があり、それぞれに長所短所があります。ここでは大きく分けて3つある変調方式のうちの一つである、強度変調方式/振幅変調方式について解説を行います。

強度変調/振幅変調は、端的に言えば"光の強さ"を変えることで"0"と"1"を表す方式です。一般的には光が強い時に"1"、弱いとき(または消えているとき)に"0"を表します。

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上図(i)(ii)(iii)のグラフは、横軸に時間・縦軸に明るさ(光強度と言います)を表しています。

グラフが出てくると吐き気がする人もいるかもしれませんが、表していることは簡単です。

(i)のグラフを見てください。グラフの右に行くことは時間が経つことを表していますが、時間が経っても縦の値は変わっていません。つまりこれは、時間が経っても明るさは変わらない、明るさが一定の光を示しています。(ii)については(i)よりも縦の値が小さいですね。つまり(i)よりも弱い光を表しています。(iii)の例はどうでしょう。時間が経つと光の明るさが二回変化しますね。光が強いとき"1"、弱いときに"0"を表すとしましょう。更に"1"="好き", "0"="嫌い"と彼女と暗号(約束事)を決めているとしましょうか。すると(iii)は"好き"→"嫌い"→"好き"というメッセージを表す"情報"と読みかえることができます。

このように光の強さにメッセージ(情報)を載せる方式が、強度変調/振幅変調と呼ばれています。ちなみにここでは"1"="好き", "0"="嫌い"という単純な約束事の元通信を行いましたが、実際"きらい"という3文字を表すだけでも最低でも18ビット(1ビットで0,1のどちらかの数を表すと思ってください)必要ですし、実際の通信ではもっともっと沢山のビット数が必要になります。また同じビット列でも、約束事の決め方やどの約束事を使うかによって全く違う意味になります。

情報通信では様々な約束事を決めてやり取りを行いますが、この約束事のことを"プロトコル"と呼び、通信をする相手との間で約束事を共有しておかなければ、通信は成り立たないことを覚えておきましょう(彼女が"1"=嫌い、"0"=好きという約束事の元解釈をしてしまうと、大変なことになりますね)。

 

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